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2020.02.10
tailor magazine / ハーブティー「Hilltopherbs」
  • ※本記事は2019年2月のものです。パッケージはリニューアルされています。

    ふわっと広がるハーブのやさしい香り。そして、飲むと全身の力がふっと抜けるこの感覚。
    そんな、心と身体に癒しを与えてくれるハーブを栽培するのが、石狩の「Hilltopherbs」さん。
    tailorでも、ハーブティーを扱わせていただいています。(物販・カフェメニュー両方あります!)
    はじめて飲んだ時、優しく奥深い味わいに衝撃を受けたことを今でも思い出します。

    「Hilltopherbs」では、4年前から新規就農で夫婦二人三脚、ハーブと野菜を育てています。
    主にハーブの栽培は妻のさおりさんが担当し、ふんわりとした甘い香りが特徴のホーリーバジルをはじめ、すっきりとしたシトラス系のレモングラスやレモンバジルなど、現在は計30種のハーブを栽培。そんな、農業が大好きでハーブへの愛があふれる、やわらかな表情が魅力のさおりさんに、ハーブに込めた願いやこれからについてお伺いしました。

    植物の力を伝えたい



    現在は農業を営んでいるさおりさんですが、以前はアパレルの仕事をしていました。しかし、毎日多忙な生活に追われ、気付いたときには自分の心と身体が限界をむかえていました。このままだと自分を見失ってしまうと感じ、思い切って仕事を辞めたさおりさん。しっかりと自分自身と向き合いたいと考え、以前からの気になっていた玄米菜食のマクロビオティックを実践します。すると、少しずつ自分の心と身体が安定し、植物の力を身をもって実感したそうです。

    それをきっかけに、夫と二人で農業をすることを決心し、自然に囲まれた石狩の地で野菜の栽培を始めます。そんな中、毎日懸命に野菜を育てるさおりさんの心に湧き上がってきたのは、「植物の力をもっと多くの人に伝えたい」という一つの想いでした。心身を崩した際に自分を救ってくれたのが、植物。そんな植物の魅力を伝えたいと思ったさおりさんは、メディカルハーブ(=自然療法の一つで、ハーブの力を使って病気の予防や治療を行うこと)を学び、これまで野菜を育てていた畑の一部を無農薬ハーブの栽培に切り替えます。
    これが、さおりさんがハーブの世界へ踏み入れた第一歩でした。

    ハーブにもある「旬の時期」とは



    栽培を始めた当初は、思うように育たず苦戦していましたが、3年目にしてようやく安定した納得のいくハーブになってきました。毎日ハーブと向き合うなかで、さおりさんが気づいたことが一つあったそうです。それは、ハーブにも野菜と同じように“旬”の時期があるということ。

    なんとハーブの旬は、「香りの強さ」でわかるのだそうです。甘い香りが特徴のホーリーバジルは新芽の時期の朝7~9時にもっとも香り強くなるため、このタイミングに摘むことがとても大切で、これを逃してしまうと、途端に香りが薄くなってしまいます。レモングラスやレモンバジルは、秋口である9月に一気に葉が大きくなり、その時期を過ぎると今度は一気に小さくなります。まさに、年に一度の生命をかけたハーブとの真剣勝負なのです。

    自分らしく生きる人を増やしたい



    日本ではメディカルハーブという言葉はいまだに浸透していませんが、海外では「ハーブの医者」とよばれる人がいるほどハーブを用いた医療が科学的にも証明されています。自身の経験をもとに、今度は自分と同じように苦しんでいる人たちを救える存在になりたいと、やわらかな笑顔で話してくれました。

    「自分事として考える」



    いやなことがあっても他人事にせず、自分事として考える。まさに、ハーブや野菜といった生命力に触れる“手仕事”をすることで、自分自身と向き合い続けているいるさおりさんならではの言葉であると感じました。
    忙しい日々を過ごしていると、目の前にあるものだけにとらわれて、大切なものを見失ってしまうこともあります。そんなときは、丁寧に作られたハーブの力を借りて、ゆっくりと自分と向き合うひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

    文:ライター 齊藤紗輝